米子城登城の巻 ~後編~
ひろ:「かつて天守閣があった場所に佇み、眼下の町並みをしばらく眺めていた。
そして遠くの山並みに視線を移す。―変わりゆくモノもあれば、変わらないモノもある
―私は、しばし感傷にふける。ふと振り返って見るともう一つの天守台(こちらより少し高い!)から、あの脳天気な馬鹿が笑顔で手を振ってきた。
・・・あれはなんとか変わらんものかな!?」
小天守台を回り込み、本丸へと上がる石段の途中に鉄御門跡があります。
鉄御門(くろがねごもん)とは、門扉や門柱などの前面を鉄板で覆って防御力を強化した門のことです。
ここの鉄御門跡は、門の礎石は整備されてしまったのか確認ができませんでしたが、櫓が乗っていたであろう石垣の規模からすると、本丸最後の守りに相応しい強固な門だったに違いありません。
↑「小天守台」
鉄御門跡を過ぎ石段を登り切ると本丸です。
本丸に登り切った時の開放感は米子城ならでは素晴らしいものです。
実際に平面はかなり広いのですが、ほぼ360度の方向に視界が開け、近くの町並みから遠くの景色までよく見えます。
また、山頂部のためか風の通りがよいので、天気のいい日の爽快感は展望と相まって抜群です。
(・・・小さい頃、正月になると凧を上げに来たことを思い出しました。冬場なら風がいっそう強くて、凧はとにかくグングンと上がりました)
↑ 「大天守台の礎石と町並み、遠景に山と海」
大天守のあった所には礎石が残り、天守閣の大きさが偲ばれます。
またそこから連結された四重櫓だけでなく、他にもいくつかの曲輪跡が残りその多くに櫓があったことを考えると、今はとても広く感じる本丸跡ですが往時はいくつもの建物や塀が建ち並び現在とは全く違った光景がこの本丸では見られたことでしょう。
せめて二重天守閣が残っていれば、、、訪れた人の多くにそんな感想を抱かせるほどに、現在は石垣群を残して建物一つない米子城跡ではありますが、後世にもその威容を伝えてるのだと思います。
(了)