チャリポタの自転車探訪記
■米子城の怪談「お菊井戸」
世界遺産国宝「姫路城」には、怪談播州皿屋敷で有名な「お菊井戸」が現存しています。お菊が生きたまま投げ込まれたという井戸は、直径2メートルあろうかという大きな井戸で、覗きこむと金網ごしでも吸い込まれそうな気がして震えてしまいます。
お皿を数える女の声がしたかと思ったら、お城のガイドのお姉さんの透き通った声でした。
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「1枚2枚3枚うらめしや と数える皿屋敷の怪談は、日本全国の城にもありますが、
皆さんはどちらからいらっしゃいましたか?」
「(輪行で)米子から来た」とチャリポタが答えると。
※輪行(りんこう)というのは、列車に自転車を載せ旅行することです。
「米子からですか、皿屋敷の怪談は山陰では松江城にもありますね。」
「米子のお城にもあるよ。」とつっこみしてあげると、ガイドさんはちょっと驚いて、
敬愛をこめた目で見つめてきます。
・・・ちょっと調子にのって歴史談義を続けてしまったのが蛇足になってしまう。
「米子城の場合、お菊を殺したのは家老です。殿様は鳥取城にいて、米子城の城主様は
家老でした。」 ※米子城主は代々家老の荒尾さんでありました。
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意味不明だったのかガイドさんにはスルーされましたけど、米子の歴史の知識が初めて役に立った記念すべき瞬間でした。
さて、米子城皿屋敷の怪談「お菊の井戸」は、城山のテニスコートをいつも見下ろせるあたりに在ります。「御殿御用井戸」とも呼ばれています。
江戸時代、鳥取の若殿様が米子城にて養育されることになり、たくさん腰元をつれて来ました。
そのなかに、お菊という絶世の美女がいて、城の男共は鼻の下を長くしましたが、いちばんノボセたのが城主でした。あの手この手でテゴメにしようとしましたが、お菊は若殿のおそばから離れられないと拒絶し続けました。
城主は、家宝の皿十枚のうち一枚を隠して預け、お菊の不始末にして「よくも恥をかかせたな」と、井戸のそばの松の木に逆さ吊りにして斬り殺したといいます。
チャリポタが、米子城の井戸そばの木に足をひっかけ、逆さ吊りになり、お菊になって撮った写真がこれです。
ちょっと気味悪いですね。えっ何か写ってるって!! 怖いこと言わないでください。
写真をよーく見てください。姫路城のような大井戸ではなく、水桶が2つやっと入るくらいの小井戸です。
お菊を投げ込むという話だと、うそっぽくなるので、逆さ吊りで斬殺というラストシーンにしたのでしょう。
チャリポタが思うに、怪談の作者は土地勘のある米子の人で、浄瑠璃ファンだったと推測できます。
残念ながら小泉八雲の作ではなさそう。
文・イラスト/チャリポタ
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